『昭和キッズTVシングルス』シリーズ復刻の現場から:哈日考古族~J-POP/懷舊/オタク~:Xuite日誌
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    2008-01-03 10:53 『昭和キッズTVシングルス』シリーズ復刻の現場から
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    文/高島幹雄

    テレビが娯楽の中心だった昭和40年代から50年代、「テレビ黄金時代」に幼少期を過ごした世代が何らかのかたちで耳にした音楽は、テレビまんがや子供向けのドラマ、バラエティ番組などのテーマ・ソングや挿入歌だろう。現在J-POPやロック、ジャズ、クラシック、十人十色な音楽的志向のある本誌読者の皆さんの中にも、記憶の片隅に残っているメロディやアレンジがふいに脳裏を駆け巡り「この曲、何の音楽だったっけ?」という状態になることがあるだろう。それが昔聴いたテレビまんが主題歌だったりすることもしばしば。本来はブルースなどに使われる言葉をあえて転用させていただくならば、テレビ世代にとっての「心のルーツ・ミュージック」といっても良いであろう。このジャンルのレコードを多数リリースしてきたコロムビアから、自社カタログを発売順に収録していくシリーズ『昭和キッズTVシングルス』が(2003年)2月からスタートする。筆者が企画や編集に関わっているゆえの手前味噌はご容赦いただき、復刻作業の現場の声としてお読みいただければと思う。

    ◆子供向けシングル盤の伝説的規格番号「SCS」

    主題歌をテレビから聴くだけでなく、シングル・レコードを持っていた人の中には、ジャケットの上部や盤のレーベルに付された「SCS-000」というアルファベットと数字に気付かれ、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。この「SCS」とはコロムビアの子供向けシングル盤というジャンルの商品規格(レコード番号)なのである。

    SCSナンバー第1号は、1965(昭和40)年12月発売『ジャングル大帝』(SCS-1)。その後『オバケのQ太郎』(66年/SCS-4)や『仮面ライダー』(71年/SCS-130)、「ピンポンパン体操」(71年/SCS-149)、『宇宙戦艦ヤマト』(74年/SCS-241)、『ドラえもん』(79年/SCS-474)などの大ヒット作品を80(昭和55)年まで産み続けた。質量ともに他を圧倒し、アニメ・レコードのコロムビアという企業イメージの一端を担ったシンボル的品番といってもいいだろう。今回の『昭和キッズTVシングルス』は、SCSナンバーの1番『ジャングル大帝』から最終盤までをレコード番号順に収録していく壮大なプロジェクトとして企画された(ただし『おかあさんといっしょ』やオリジナルの童謡などは未収録。冨田勲や宇野誠一郎、越部信義などが作曲した童謡もあるので、今回の売り上げとニーズにより増補も検討されるだろう)。

    ◆「キッズTV」を通した音楽的パノラマ

    レコード番号順のシングル・コンピレーションという企画により、アニメ、特撮などの限られたジャンルで制作されたオムニバス商品、作品によってはB面曲未収録という内容での発売などの理由から、過去市販商品でのCD化の機会に恵まれなかった楽曲も網羅できる。たとえば、テレビまんがの音頭ものやクリスマス企画、「東映まんがまつり」などの劇場用長編アニメの主題歌、当時人気のテレビ・タレントが歌う企画盤、ドラマ「ケンちゃん」シリーズ、『ママとあそぼう!ピンポンパン』や『とびだせ!パンポロリン』ほかキッズ・バラエティ、『ターザン』などの外国テレビ映画も収録していく。

    このシリーズが最良のかたちで完結すると、歌を通した昭和テレビ黄金時代の児童文化史とともに、アニメ・レコードのパイオニアとしてのコロムビア社史の側面もパノラマ的に一望することができる。リアルタイムで体験した昭和TVキッズにとって新たな宝箱になるとともに、歌手、作曲家、作詞家、サウンド・メイキングなどこのジャンルに対してさまざまなアングルから興味を抱く音楽ファンにも格好のテキスト的全集になるだろう。

    ◆デジタル・リマスターで音像の明度をアップ!

    ジャケットはコロムビアの子供向けレコードを象徴する伝統的キャラクター「コロちゃん」をフィーチャー。懐かしくて新しいビジュアル作りを目指している。ブックレットはシングル盤ごとにページを構成。歌詩の他、発売日、品番、当時のジャケット写真の縮小版、解説文を掲載。解説はオープニングやエンディングでの使用、収録曲がテレビと同じ歌手(オリジナル歌手)でないカヴァー音源の場合は、オリジナル歌手音源の発売メーカーのデータ、作詞家、作曲家や編曲者についてのメモなどを記載。巻末には初公開となるSCS規格商品の番号順完全リストを連載形式で添付した。

    音はデジタル・リマスター。この表示がなくてもすべてのCDの製造過程では、必ずデジタル・リマスターが施されている。その方法の中にプロトゥールス使用の有無や、もっと特殊な作業がいくつかある。今回はプロトゥールスを使わずにアナログの温かみを大切にしながら、過去のCDに収録された同じ音源よりもレベル(簡単にいうと音の大きさ)を持ち上げ、音のヌケを良くして、曲ごとのアレンジが持つ特徴を考慮しながら、楽器や声の音像の明度をアップさせる方向で仕上げていった。まだマルチレコーダーがなかった頃の一発録りでレコーディングされたステレオ音源がほとんど。音の広がりが大きくバランスも素晴らしい曲、反対にモノラル的にまとまっている曲など、楽曲ごとの録音状況の違いも感じられることと思う。大もとの録音段階で歪みが生じている残念な曲(歪みはプロトゥールスでも完全に取り去ることが不可能なのだそうだ)もあるが、可能な限り音トビやノイズの補正は行なっている。ただし、エコーを足すなど不自然になってしまうようなやりすぎはしていないのでご安心を。

    『昭和キッズTVシングルス』は、テレビまんがCDの購入をためらっていたテレビ世代の音楽ファンに、歌謡曲や洋楽のリイシュー企画と同じ目線で、自分だけの「心のルーツ・ミュージック」再発見の旅をしていただくためのアイテムなのである。

    from CDジャーナル 2003年03月号



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